2010・0907式機関拳銃
 
 装弾数12発のセミオート(引き金を引くごとに一発ずつ発射)、フルオート(引き金を引いている間連続して発射、いわゆる機関銃)の切り替え機構付き機関拳銃(マシンピストル)です。機関銃の機能を拳銃の中に詰め込みました。
 遅延装置が軽量だとあっという間に全弾撃ち尽くしてしまいがちですが、この銃は強力な遅延装置によりかなり低速で回転します。全長27cm。装弾数No.16輪ゴム×12発。有効銃身長16cm。
 
 
 射撃動画を是非ご覧ください。セミオートとフルオート、両方の動作を確認できます。
 
 伝統の、風車のような4枚羽根を採用しています。この銃では拳銃サイズに遅延装置を押し込めるため、極端にバランスの悪い遅延装置を使っていますのでうまく作らないと作動不良を起こします。そのため、この羽根は従来と異なり輪ゴムを掛ける切り欠きが5mm前進しています。その結果、発射直前のゴムに続く次のゴムが羽根の軸より浮き上がり、効率的に羽根を回転させることにより作動不良を防いでいます。初期型では従来と同様の羽根で一応動いていたのですが、個体差や、確率は低いものの偶発的な機関停止が見受けられたため、改善しました。結果的にはゴムを掛ける位置が5mm前進するためそのままでは従来より威力不足になるため、全長を5mm増やす結果になりました。
 
 銃口です。前作に引き続き採用した形状で、ゴム同士が圧着するのを極力防ぎ、ゴムの干渉を軽減できます。金属ピンの採用で耐久性向上を図っています。
 
 内部構造です。結構機関部は密度が高くなっています。小型化を考えると、遅延装置を羽根の後ろに配置すべきでしょうが、簡素なセレクターとグリップを使うためこの配置になりました。角を丸めたりする手の込んだ加工はありませんしグリップも少々角を落とした程度の角棒です。
 
 機関部の拡大です。用心鉄の接着面が確保しづらく斜めにカットしたりで苦労しました。引き金は実績ある2006・1112式短機関銃を流用しました。簡単にセミオートとフルオートを切り替えられます。
 
 遅延装置の拡大です。2006・1112式短機関銃ではM10のナット2個を使っていましたがスペースの関係でM12のナット一個になっています。
 初期はM10ナット一個だったのですが、そこそこ回転速度が抑えられうまくいったと思っていました。しかしたまに起こる機関停止が抑えられず、写真のナット左側にある遅延装置の動き抑制部品を付けることでかなり改善されました。ただ今度は回転速度が速くなってしまい、それを抑えるためM12ナットの採用となりました。
 最終的には羽根の改善で、発射時の機関停止の問題がなくなったのですが、遅延装置の動き抑制部品がないと、形状変更した羽根羽根と遅延装置が、装弾時に噛み込んでしまうため、今の形状に落ち着いています。
 バランスはきわめて悪く片側だけに付いたナットを振り回すような動作になっていますが数々の改善で安定した作動を見ることができます。ただ発射時の振動はかなりあり考えようによると撃っている実感があります。初期にはナットを遅延装置に凧糸で縛っていたのですが、振り回す動作が激しいためか3000発程度で切れてしまったため、細い針金に変更しました。
 
 羽根の拡大です。なぜ従来の羽根より作動が安定するか考えてみてください。
 
 引き金を戻すため0.55mmのピアノ線でバネを自作しました。写真の左側で穴にバネの端を差し込んでありますが、ただ単純に曲げて差し込んであるだけではありません。その先端が斜め上に向いていないと使用中にはずれます。
 
 グリップの全面を切り欠くことによりすこしではありますが小型化しています。
 
 元々、機関拳銃は異端の銃というイメージがあり、作る気がなかったのですが、短機関銃の生産が軌道に乗っていることもあり実験的に開発したのが始まりです。それとは別に簡易で廉価な短機関銃という意味合いの銃も並行設計していて、さらにはセミオート拳銃の改良版で機関拳銃を作ろうと設計していたものもあり、それらが挫折したり融合したのが本銃です。
 実験機から考えると3年以上かかる長期大作になってしまいましたが、生産性は高く、最近は異端の銃と捉えることなく結構気に入っていたりします。撃ったときの反動はなかなか楽しいものです。
 構造的には、単純な四角羽根で作っても動かすことはきわめて困難なものになっており、遅延装置のバランスにうるさくない風車のような独特の羽根の利点を、最大限引き出せたと思っています。
 
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