2012・1018式短機関銃
 
 装弾数20発のセミオート(引き金を引くごとに一発ずつ発射)、フルオート(引き金を引いている間連続して発射、いわゆる機関銃)の切り替え機構付き短機関銃です。2012・0821式短機関銃より量産向きの構造の銃として開発しました。強力な遅延装置により20発装填時でもかなり低速で回転します。
 全長54cm。装弾数No.16輪ゴム×20発。有効銃身長16cm
 
 羽根に巻き上げる巻き上げ式では装弾数に限界があります。限界を決定づける一つの要因として羽根の左右の隙間の幅が大きく影響します。従来は余裕を見て12発程度としていましたが、無茶をすると20発程度装填できることは確認されていました。ただし銃がひずむことや弾のゴムが切れること等問題があり安全性を確保できないため絶対やって欲しくありません。
 今回20発に装弾数を増やすため羽根の左右の隙間の幅をかなり大きくしています。12発では両側合わせて6.5mmですが、この銃では17.5mmまで拡幅しています。無理をすると24発程度は入りますが経年劣化等安全性を考え20連発としました。
 
 この羽根の特徴の一つですが、最後の一発になってもしっかり羽根を回せる位置にゴムが来ることがあります。軸より上にゴムの駆動点が上がりますので力強く動きます。この効用があるため重い遅延装置が安定して使え、結果的にフルオートの低回転化に寄与しています。
 独特の風車のような羽根は発射寸前にゴムを他のゴムから引きはがす動作を起こしますので多弾装填でもゴムが癒着しにくく有利に働いています。なお羽根を切り欠く位置を2010・0907式機関拳銃同様5mm前進させることで残弾が少ないときの作動を安定させるとともに、セミオート発射時により低い位置までゴムを保持する位置を下げ作動をより確実にしています。
 
 この銃では銃口部を10年以上前の形状に戻しました。最近はピン式を多用していましたが、狭いフックにゴムが20発も掛かると絡まりやすく、また劣化したゴムではくっついてどうしようもないため、整然と並べて掛けられる写真の形状に戻しました。写真の状態で16発、後4発程度は適当に装弾して問題なく撃てます。
 
 12連発時代は出来るだけゴムへの負担を少なくするため、銃口と羽根の軸以外の部分ではゴムはどことも接触しないのが理想と思っていたのですが、20連発の試作段階で間違いであることに気づきました。
 竹籤を取り付けてありますがそこから後ろのゴムが主に巻き上げられます。以前は竹籤にあたるものが後ろにあるのはゴムへの負担から良くないと思っていましたが、竹籤に当たる部分が銃口付近だと巻き上げられるゴムの距離が長くなり、かえって癒着が激しくなることがわかりました。もっともゴムへの負担の問題がないわけではないので、現状あたりがまずまずではないかと思っています。これを検証するには使い込んだゴムが必要なので苦労しました。
 
 定番のセレクターです。この位置ですと羽根を一発ずつ受け止めセミオートで作動します。
 
 この位置ですとセレクターは羽根を制御せずフルオートとなります。
 
 さて機関部の内部ですが、特徴的なのは引き金の軸から下端までが非常に長いことです。20発にもなると圧力が高いためセミオートでの制御が非常に困難になります。実はフルオート専用なら20連発はすぐ作れる程度の物だったんですが、セミオートの信頼性がなかなか確保できず今まで手をつけていませんでした。引き金の軸から下端までが非常に長いのは引き金の引き代を延ばし意図しない2点射を防ぐためです。単純に引き金を戻す力を強くすれば安定するとは思いましたが、あまり好きな手法ではないし、引き金が重くなり使い勝手が悪いし、経年劣化も心配なので採用しませんでした。
 開発当初悩んだのは、大量に在庫がある4cm幅のシナ合板で作る以上、銃の縦方向の幅に制約ができ、引き金の位置を下げるのに限界があることでした。発想を変え引き金に段差を設け、軸から遠いところしか引けなくすることで解決しました。結果として引き金を戻すゴムを外しても20連発以上セミオートで制御できる能力を持つことができました。
 遅延装置を納める場所を確保するため、弾倉状の部品を引き金の前に取り付けています。軸から重りまでの位置が十分遠くなり、従前からのM10ナット2個の重りで十分回転を抑えられます。
 この銃が20連発にできたのは元々羽根が4cm四方の四角から加工する大きな物であったことも起因しています。2枚から三角、三角から四角と制御に使える領域が狭くなりますので、セミオートを安定させたければ大きな構造でつくって制御できる領域を確保した方が楽です。デザインを考慮するとなかなか難しい問題ですが。
 
 弾倉交換ができないため単純な比較はできませんが、一応BARや7.62mm時代のアサルトライフルなみの装弾数が確保でき、満足しています。上を見ればきりがありませんがシンプルな構造で20連発ができたので当面遊べそうです。
 
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