1999・0128式短機関銃
 一番最初に作ったフルオート専用短機関銃です。私が前世紀に作った唯一のフルオートです。フルオートを実現するには回転部から一気に弾がでるのを防ぐアイデアが必要でした。思いついたときは秘密にしていたのですが、マイスター氏に発射音を電話で聞かせたところ、彼も遅延装置の開発に成功し、同じようなものを考えつくものだと思ったものです。
 この写真は2013年に大幅な改良を行った後のものです。なお改良に当たってはねじ止めしているパーツのみ変更し、旧に復することができる範囲にとどめています。
 
 
 動画です。20連発化とよく効く遅延装置が効果を発揮していると思います。
 
 初期の姿での写真です。銃床がなくゴムで引き金を戻していたのがわかります。この銃は私にとって、遅延装置の実用化に成功した銃として後の銃の礎になったと思います。今から見ると、きわめて詰めが甘い設計ですが、当時はフルオートで撃てることが何よりうれしかったことが思い出されます。全長27cm。装弾数No.16輪ゴム×12発。有効銃身長17cm。
 
 装弾数を稼ぐため、銃内部の空間の幅を増す必要があり、5枚の板を貼り合わせてあります。手間のかかる構造です。設計の詰めが甘く、各軸の正確な位置関係が必要なのにもかかわらず、組み立て精度を出すのに手間のかかる構造をしています。軸の通る部品同士は共通の穴で貫けるようにすればよかったのですが、フルオートの実用化に必死で気が回りませんでした。
 
 初期の機関部です。2枚羽根を、L字型の遅延装置にぶつけ、その反動で遅延装置が逆方向に動き、羽根を制動するようになっています。遅延装置を引き金で固定することで機関停止します。当初は後の写真のように木のL字形部品のみで遅延装置としていました。もともとはセミオートの引き金の戻しゴムをはずし、羽根を何気なく逆回転させて遊んでいたときに、かたかたと引き金が前後しながら羽根を回し続けることに気づき、これはと思って実験したのが始まりです。軽い遅延装置で連続で12発発射するとかなり回転が速いのですが、引き金で羽根を制御するのではなく遅延装置を微妙に制御できるため、意外なことに2発ごと刻んで発射することは可能です。ただし、遅延装置を介して羽根を間接的に制御するため、装填時にはいちいち一発ずつ引き金を引く必要があり、結構手間です。
 今から思うと非常に早い回転数でしたが、当時はそれでもとりあえずフルオートが実現したことで満足していました。後発のマイスター氏はさらに高回転だったのですが、しばらくすると金属製のボルトをバランスさせながらねじ込み、機関がたまに止まるなど不安定ながら回転数を落とし始めてきました。
 私は、回転を落とすべく遅延装置の重量を増すことをL字型の初期の段階で行ったのですが、バランスさせるという発想がなくうまく動きませんでした。マイスター氏の重量を増した初期の遅延装置は、バランスさせることでかなりうまくいっていたのですが、やはり停まることがあり、不安定な動作に不安を感じ、またボルトをねじ込むという工作の難易度が高いこともあり、私は採用しませんでした。私は新型銃にセミオートを搭載するなど研究を続けました。そのうち、遅延装置にボルトをねじ込むのではなくナットを紐で固定する簡単な方法にたどり着き、2002年に切り欠きのある風車のような羽根の開発で遅延装置のバランスにあまり気を遣う必要がなくなり、遅延装置を含む機関部の安定性の達成を見ました。その間マイスター氏も改良を重ね安定した作動を確保し今に至っています。
 
 2011年になって旧式のこの短機関銃も、写真のように改良した遅延装置を搭載し相当改善しました。M10のナットを2個遅延装置に取り付けています。サイズ的に無理がありナットがはみ出し気味ではあります。横に寝かせたときなどに作動不良を起こさないようワッシャーを遅延装置の軸に入れてあります。ただ改善に限界もあり、現代の銃と比べると、操作性は悪く、回転速度の抑制もやや及ばないところはあります。
 2013年、最近の私の主流20連発と比べるとかなり見劣りし懐かしがって撃つこともなくなっていました。ふと4枚羽根に交換して20連発化出来ないかと思い立ち試作すること5回目で納得いくものになりました。
 元々2枚羽根で12連発化するため、4枚羽根20連発と同等の羽根と銃本体間の隙間を設けていたため、内部部品の交換ですみましたが、本体には手を入れないという条件で作りましたので構造は簡単ですが最適化が大変でした。遅延装置のナットは軸から遠いほど本来効きがいいのですが、この銃では遅延装置を引き金で制御するため各部が干渉しやすく、本体に余裕がなくナットは軸から近くならざるをえませんでした。そこで効きをよくするためM12のナットを採用し重量を増し、はみ出すのは仕方ないが引っかかるのはなんとか回避しました。
 バネは写真のように固定しています。くの字の部分で固定して、可動部分は緩やかに曲げるのが長持ちのこつだと思っています。
 遅延装置のナットは大きくバランスを崩していますが、切り欠きのある風車のような4枚羽根のおかげで最終弾まで力強く撃ちきります。回転もそこそこ落ちたので結構いい感じになりました。
 何しろ私にとっては思い入れの深い銃なので、本体には手をつけず部品の交換だけで実現することにしたため手こずりましたが、また遊べそうです。
 
 
トップページへ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                           
inserted by FC2 system