2001・0501式短機関銃
 
 一番最初に作ったセミオート・フルオートの切り替え可能な短機関銃です。1999・0128式短機関銃の後継として開発しました。単純な構造でセミオート・フルオートの切り替えが可能です。
 この写真は2014年2月に20連発化という大幅な改良を行った後のものです。なお改良に当たってはねじ止めしているパーツのみ変更し、旧に復することができる範囲にとどめています。
 
 2001年当時の初期の姿での写真です。銃床が子供用を意識して短いです。当時の全長44cm。装弾数No.16輪ゴム×12発。有効銃身長16cm。基本的には1999・0128式短機関銃を改良したものです。
 
 セミオート時はねじ止めされた爪で回転羽根を一発発射ごとに受け止めます。
 
 フルオート時は爪を横に回してやります。回転羽根は引き金を戻すまで回り続け、連続して弾が発射されます。簡単確実な構造です。
 
 銃身部です。竹ひごがついているのがわかると思いますが、銃口付近にも竹ひごをつけた方が集弾性が良くなります。ただ破損しやすいことと、短機関銃というばらまき型の銃であることを考慮して省きました。後年の研究では装弾数が増えると銃口に竹ひごをつけるのは必ずしもよくないというのが私の見解です。
 
 内部構造です。フルオート時に回転する羽根を減速するために、くの字形の遅延装置が付いています。羽根の力で遅延装置を動かし、力に応じた反動を羽根に与えるわけです。セミオート作動時に、遅延装置の制止位置とセレクターと羽根の位置関係を調整するため、遅延装置に切り欠きを作り調整しています。引金を引き遅延装置が羽根を解放したときに、的確にセレクターが羽根を受け止めるようにしています。
 2001年当時は遅延装置に重りはつけておらず、相当回転が速かったのですが、遅延装置自体黎明期で、セミオートでも撃てるため、それなりに満足していました。ただ、この銃は遅延装置を引き金で制御する旧式な構造が原因で、装弾時に引き金を引くという動作が必要です。セレクターをフルオートに切り替えないと装弾できないことも不便であり、全くの新規設計で後継を作ることにしました。
 ところが、総合的メリットから4枚羽根の短機関銃への移行を目指したところデメリットにつまずき、後継として結局二枚羽根の重量級遅延装置を採用した2002・0218式短機関銃を設計したのですがトラブルを頻発、新たに4枚羽根への移行を迫られながらすぐに移行できずという事態になりました。使い勝手は悪いものの信頼性が高かったこの銃は、4枚羽根の2002・0318式短機関銃が実用化するまで使われ続け、その後も予備として保管されることになります。
 
 2枚羽根の宿命として巻き上げ回数が増えるため、短機関銃のように多弾装弾するとゴム同士が癒着し、特に古いゴムを使用するとゴム同士がくっついた状態で遅発したり絡まったりすることがあります。この銃も全くないわけではないのですが、この写真のようにセミオート時引き金を引くと極端に羽根が倒れるため、精度はともかく前に弾が出やすくなっています。とりあえず前に弾が出る銃と、弾が前に出ない銃ではやはり前者を選ぶわけです。新しいゴムを使うとそんなに問題はないですし、古いゴムだとどんな銃でも多少問題は出るのですが、当時は新品ゴムしかまともに撃てない銃ではだめだという考え方でした。
 
 予備として実質忘れ去られていた2006年末、重量級の遅延装置を試しにつけてみたらうまく作動し、近代的な銃には劣るもののまだ使えるという感触を得ます。古い設計の遅延装置は、重くすると残弾が少なくなると止まるものが多いですが、この銃に関しては当初の設計が良かったようです。
 
 
 2011年4月になって、引き金を戻すゴムが露出しているのを無改造で内蔵バネに変えることに成功し、これを機に設計当初から短すぎた銃床を大型化することにしました。遅延装置もさらに形状を最適化しました。
 
 ついでに直銃床化も図ります。実際には狙いやすくするため、銃床と弾であるゴムの位置はずれており、疑似直銃床と言った感じです。これらの改良はねじ止め部品の交換のみで行われ、元の銃本体には加工を施していません。
 一応これでアイデアは出尽くしたと当時は思いました。甲高い2枚羽根独特の発射音を楽しむことができ、気が向いたらたまに再生産までしていました。もし遅延装置の改良が早期に行われていたら、まだ2枚羽根のままがんばっていたかもしれませんが、おそらく4枚羽根に移行するのが遅れただけだったでしょうね。
 
 2011年、すでに10年がたちそろそろ現役から完全引退かなと考えていましたが、久しぶりに撃つとその甲高い発射音にまた魅了されてしまいました。二枚羽根の機関銃はほとんどの人が作っておらず、アイデアは伝承蓄積しておいたほうがいいかもなどと勝手に考えさらなる改良を始めました。テーマは古びて粘着気味のゴムでも何とか撃てるようにすることです。フルオートではあまり気になりませんがセミオートでは結構気になる現象です。貧乏性で切れるまでゴムを使うのがいけないんでしょうが。
 まず、回転羽根に切り込みを入れ発射寸前に他のゴムから引きはがすように改良してみたのですがいまいち効果がはっきりしません。12発装填時の最後の2〜3発が他のゴムとくっついて、発射しても銃口からぽろりと落ちるだけだったりします。簡単な改善方法としてはゴムにベビーパウダーをまぶすという方法がありますが、銃が汚れるので大変です。
 ハードの改良をあきらめ、ふと原点に返り、今まで適当に装填していたゴムを、写真のようにゴムが銃口で重ならないよう装填してみました。最初から7発程度が綺麗に並ぶ限度ですが残りは適当に全部で12発を込めてみると、劣化したゴムでもかなりうまく発射できました。最初の4発程度を綺麗に並べるだけでも効果絶大です。お互いにくっつくのが最小限に抑えられたのが良かったようです。こんな簡単な事に気づかなかったとはなんとも。てっきり作動不良の主原因は回転部でのゴムの圧着だと思っていました。他のメーカーさんでは整然と並ぶことを求めるかのように銃口に溝を切ってある場合がありますが理にかなっていると思います。これでまだ10年はがんばれるかも?。
 
 2012年から始まった20連発化にはさすがに対応困難でした。本体に手を入れずに20連発化しようとしたのでなおさらです。原型である、1999・0128式短機関銃はフルオート専用だったのでなんとか20連発化できましたが、この銃の場合、セミオートへの切り替え機能を生かそうとすると、20連発の圧力に耐える信頼性の確保が困難で、何度もあきらめかけました。1999・0128式短機関銃の20連発化成功と同時期から試作と挫折を繰り返しましたが、半年以上たった2014年2月になってようやく安定した動作に成功しました。
 
 左が20連発、右が初期の12連発です。なんとか本体には一切加工を施すことなく、部品交換だけで20連発化できました。機関部自体の能力的には24連発以上対応可能なようです。構造的には4枚羽根にしただけですが、原型の通り遅延装置を介して羽根を制御していますので、セミオートの制御に使うセレクターが入る余地が少なく苦労しました。セレクターの入り込む余地を作るため遅延装置を小型化すると、羽根の切れ込みに遅延装置が噛みこむため、引き金で遅延装置の動きを制限する方法をとりました。
 
 操作性は基本従前通りですが、セミオート時にもフルオート時と同様に装弾できるようになったのが唯一の改善点です。装弾時には相変わらず一発づつ引金を引く必要があり、現代の銃と同じようにはいきませんが、撃つときにはそう見劣りしない性能を発揮します。
 4枚羽根になったので、弾のゴム同士の癒着問題もほぼ現代の銃と同様のレベルまで解消しました。
 
 羽根を制御するのに遅延装置を介する今となっては廃れた構造ですが、まだ現役でがんばれそうです。
 
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