2002・0318式短機関銃
 
 短機関銃の信頼性をさらに向上させるべく開発しました。併せて低コスト化も目指しました。セミオートとフルオートの切り替え機構付き短機関銃という基本構成は変わっていません。この銃の機関部の基本構造は改良されながら現在も引き継がれています。全長51.5cm。装弾数No.16輪ゴム×12発。有効銃身長16cm。
 
 
 動画です。2002年当時としては回転速度を飛躍的に抑えることができた銃です。
 
 4枚羽根を採用しました。単純な四角形ではなく深い切れ込みが4カ所に入っています。この羽根の開発は非常に重要で、改良しながら以後の銃に引き継がれていきます。
 
 12発装填など装填数の多い銃の場合、ゴムが劣化していると圧力でくっつき、命中率を下げたり作動不良を起こすことがあります。特徴的な切り込みのある羽は、発射直前にできるだけゴムを剥離させる効果があります。できるだけ劣悪なゴムでも撃てるよう開発したものです。
 
 遅延装置にはM10のナットを使用して重量を稼いでいます。固定に苦慮しましたがナットに凧糸を巻き接着しています。
 
 この銃では、現在より深い切れ込みを羽根にもうけているため、遅延装置と羽根が噛み込まないよう遅延装置の動きに制限をかけています。
 
 四角い部品も上記同様遅延装置の動きを制限するためのものです。
 
 角に飛び出ている遅延装置の一部は、装填時に使用します。この銃の遅延装置は発射方向に最適化しているため、装填時は引っかかってしまいます。そのためこの飛び出した部分を操作し、引っかかったときに解除してやります。現在は不必要になった機能です。
 
 セレクターです。この状態でセミオートになります。
 
 セレクターをフルオートにした状態です。単純ですが確実です。
 
 発射直前にゴム同士を剥がす効果があるのがわかると思います。古いゴムを使わない、あるいは少ない装弾数の銃ばかり作っているとありがたみがわからない機能です。
 
 この羽根の特徴の一つですが、最後の一発になってもしっかり羽根を回せる位置にゴムが来ることがあります。軸より上にゴムの駆動点が上がりますので力強く動きます。この効用があるため重い遅延装置が安定して使え、結果的にフルオートの低回転化に寄与しています。
 
 近代化改修として遅延装置のナットの固定をワイヤーに変えました。接着が弱くなってたまにぽろっと取れることがなくなりました。また遅延装置の右側ナット上に突起部を設けることで、装弾時の引っかかりをなくし装弾を簡単にしました。現在の銃では当たり前の機構ですが。
 
 元々は写真のように引き金を引き戻すためゴムをつけていましたが、これも近代化改修しました。
 
 バネを組み込みました。銃本体は無改造で単純な方法です。
 
 やや弱いですがまずまずです。0.55mmのピアノ線を使っています。
 
 この銃では羽根におけるゴム同士の癒着はかなり防いでいますが、銃口は厚みもありくっつきがちです。適当に装弾すると、ゴムの上からゴムが重なり、その上からさらに他のゴムが押さえつけるようなことになり、命中率の低下や最悪発射してもろくに飛ばない場合が出てきます。
 12連発を気持ちよく発射するため、運用面の改善としてゴム同士ができるだけ重ならないようこのように装弾すると、目覚ましい改善がありました。12発全部をこのように装弾するのは面倒くさいので、最初の6発程度やれば十分効果が出ます。
 この技も古いこの銃だから必要なものであって、現在のピンを打った銃口ではそれほど気を遣う必要はありません。厳密には整然と装弾した方が良い結果を生むようですが。
 
 風車のような独特の形状をした羽根を初めて採用した銃ですが、近代化改修で何とか現代に通用する性能を見せています。現在の製品と比べて部品の切り出し効率が悪く廃材が多いことが主な理由で基本的に製造を打ち切りましたが、たまに懐かしんで作っています。ラワン合板で作っていますので見かけは悪いが材料は安いです。
 
 2013年になって短機関銃は20連発が主流となったため、更に大幅な改良を施しました。20連発化を果たしています。
 
上が12連発の改良前、下が20連発の改良後、ぱっと見た目では側板の追加と引き金の変更ぐらいしか目立ちません。
 
 右が12連発の改良前、左が20連発の改良後の銃身を上から撮った写真です。12連発時代は出来るだけゴムへの負担を少なくするため、銃口と羽根の軸以外の部分ではゴムはどことも接触しないのが理想と思っていたのですが、20連発の試作段階で間違いであることに気づきました。
 銃身上に爪楊枝を取り付けてありますが、そこから後ろのゴムが主に巻き上げられます。以前は竹籤にあたるものが後ろにあるのはゴムへの負担から良くないと思っていましたが、竹籤に当たる部分が銃口付近だと巻き上げられるゴムの距離が長くなり、かえって癒着が激しくなることがわかりました。もっともゴムへの負担の問題がないわけではないので、現状あたりがまずまずではないかと思っています。
 
 下が12連発の改良前、上が20連発の改良後です。20発にもなると圧力が高いためセミオートでの制御が非常に困難になります。実はフルオート専用なら20連発はすぐ作れる程度の物だったんですが、セミオートの信頼性がなかなか確保できず今まで手をつけていませんでした。引き金の軸から下端までが非常に長いのは引き金の引き代を延ばし意図しない2点射を防ぐためです。単純に引き金を戻す力を強くすれば安定するとは思いましたが、あまり好きな手法ではないし、引き金が重くなり使い勝手が悪いし、経年劣化も心配なので採用しませんでした。
 
 奥が12連発の改良前、手前が20連発の改良後です。側板をつけて装弾数を稼いでいます。羽根を切り欠く位置を2010・0907式機関拳銃同様5mm前進させることで残弾が少ないときの作動を安定させるとともに、セミオート発射時により低い位置までゴムを保持する位置を下げ作動をより確実にしています。
 
 上が12連発の改良前、下が20連発の改良後です。基本的な構造は変わっていませんが、機関部の各部品は20連発化にあわせて最適化を図っています。そのため各ピンの位置も変更しました。
 主な改良点をまとめると、銃身上の爪楊枝従の後ろ側を後退させゴムの巻き上げ量を控え、羽根の切り欠きを5mm前進させ、引き金の軸を前進させるとともに引き金を長くし引き金の引き代を稼ぎ、遅延装置の軸位置と形状を最適化しM10ナット2個の重りに換えてM12ナット2個を取り付けたといったところでしょうか。
 
 まだしばらく最新の銃と張り合えそうです。
 
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